Penguin Diary

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webデザインをお仕事にしている、元アパレルバイヤーの日常記録です。

59 : movie【ワンデイ 23年目のラブストーリー】

http://oneday.asmik-ace.co.jp/iphone/index.html

久しぶりに映画のレビューでも。

毎年7月15日には必ず会おうと約束をした、2人の男女の人生の物語。
付かず離れずの友情を育みながら、一線を越えることなく、様々な局面をそれぞれに迎えながら、1年に1度は交錯する2人の人生。

以下、物語の詳細に触れますので、未視聴の方はよろしければお控えください。





男は生まれつき裕福で、頭が良く、ルックスにも恵まれ、女性になに不自由することなく、テレビ局で働きながら人生のスポットライトを若くから全身に浴びて輝く。
女は一般的な生まれで、真面目で、地味で、ユーモアに溢れるものの、学生時代はその他に埋もれる存在。
作家を志すもなかなか芽が出ず、書くために望まない仕事に当たっている。
普通に生活していれば交わることない2人が、些細なきっかけで交流を深めていき、ひっそりと男に恋焦がれていた女は、可能性の少ない男との明日を夢見るより、今日男と一緒にいられることだけを望み、友情を貫くことを心に誓う。

何度となく線を越えるチャンスも、きっかけもあったのに、そして男の気持ちも変化していったのに、タイミングとはなかなかに意地悪で、また女の決意はなかなかに強固だった。

交流を深める中で、最後の心の拠り所としてお互いを思い合っていることを誰がどう見ても確信するのに、決して2人は線を越えない。
いつか終わってしまうかもしれない混じり合う関係よりも、決して終わらないどこまでも続く平行線を維持することに努めた。

映画は、1年に1度、2人が必ず出会うことを約束した日、7月15日を何十年にわたって描写し続ける。

刻々と変化する時代、2人の様相、とりまく環境。

時が深まるにつれて、年をとるにつれて、人生の重みや深みは濃く、混沌としていく。

その中でも変わらない友情、最後の支えであるお互いの存在。

積み重ねてきた2人の年月は、もう友情でもなく、恋でもなく、その2人にしかありえない特別な関係性になっていた。

幾多のタイミングをすり抜けてきた2人に、突然に、もう逃げてはいけないとばかりに、お互いがお互い人生になくてはならない存在であり 、それこそがまがいない愛だとお互いに確信する日が訪れる。

しかし、これから色鮮やかに広がっていくはずだった2人の物語は唐突に終わる。
幸せの絶頂とはきっとこれしかありえないだろう、お互いを、お互いに等しく世界で一番幸せにすることだけを考えはじめたときに女は死んでしまうのだ。

もっと早くこうしていれば、はありえない。
すり抜けてきた幾多のタイミングがあったからこそ、2人は世界で一番にお互いを思いあえたのだ。

その時間があまりに短く終わってしまったことは仕方がない。
誰かを深く愛することができたことを誇りに思えばいい。

人は誰かに必要とされないと
生きる意味を感じられない。

でも必要とされた人を
自分が必要と思うかはまた別問題だ。

幸せとは、
人に必要とされ
自分もその人を必要とし、
お互いを優しく思い合えたときにきっと感じるもの。

幸せになることも、愛することも下手な人ばかり。
いっぱいいっぱい泣きました。

自分の心の拠り所はどこにあるのか、見つめ直すきっかけになるよい映画です。