Penguin Diary

PNdesign(ピーエヌデザイン)

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webデザインをお仕事にしている、元アパレルバイヤーの日常記録です。

73:movie【リリィ・シュシュのすべて】

リリィ・シュシュのすべて

 

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わたしの友人が岩井俊二好きでよく作品を見ていました。
おすすめされていくつか作品をみたんですが
透明感があって青くて、色がうすくて

ガラスのようで触れると割れてしまいそうな世界観の中に

どす黒いものがうずまいた空気がなぜか好きになれなくて・・・。


大人になって見返したらなにか変わってるかなと思って見てみました。


中途半端な田舎で暮らす未成熟なこどもたちが
鬱屈とし、荒れ、居場所を求めつつも自身の大きなエネルギーをもてあまし、
なすすべを知らずにもがいている様を
断片的に、また抽象的に描き続けています。

こどもたちは大人に囲まれて生きていますが
大人の成熟度はどうにも軽薄に映しだされている。

子どもと大人の距離は遠く、コミュニケーションは円滑でない。

大人になって気づいたことは、大人になっても成熟している人はそう多くないということ。

その事実をなんとなく子どもは知りはじめ、
その大人の無力さを感じ取るにしたがって成長が始まるんだろうと思う。
だから周りに無力な大人が多い子どもほどその年に見合わぬスピードで成長しはじめ、
その見合わない速度が子どもに負荷をかけ、どこかで屈折していくんだろう。

いじめも万引きも援助交際も自殺もわたしの周りで全くなかったわけじゃない。
でもとても遠く離れたところにあった。
渦中にあったことはなく、とてもぼんやりとした輪の中で
追いつめられることのない場所にずっといた。

当時のわたしはそういったことをしている人たちをとても馬鹿にしていた。
いじめや万引きや援助交際、そんなことでしか鬱憤をはらしたり
刺激を得たりすることができない人たちの貧弱かつ貧相な感性を、

イマジネーションを、
心底侮蔑していた。

ただ、多くのこどもは大抵そういった感性が貧弱なのだ。


情報社会ひいてはインターネットは、
多くのひとを助け、多くのひとを導き、多くの道を切り開いてきた。
あなたは一人きりじゃないと教え、世の叡智を集め、
不器用な人間たちがもっとうまく生きていくことを可能にしたはずだった。

 

だがしかしこどものいじめはなくならない。
更に、大人になってもいじめはなくならない。

 

なぜだろう。


最近恥ずかしながらやっと気づいたのだが、

いじめの本質は生存本能からくるものだからだ。

自身がいきぬくために、より高いベネフィットを教授するため、
自身を脅かす存在を追いやる。

いじめがなくなるその日は、世界がひとつの国になる日だ。
グローバリゼーションがあり得ても、世界が単一国家になることはない。

ただひとついじめがなくなるために必要なことは、それぞれの国が強くなることだ。

利害関係があっても、簡単に戦争などおこらないようにすること。
そして、コモンセンスを取り違えぬよう、常に標準的に正しい行いをしていくことだ。

なんだか大きな話になってしまったけど、
出口のないものは好きじゃないってこと。


久しぶりの映画レビューは以上!