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Penguin Diary

PNdesign(ピーエヌデザイン)

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webデザインをお仕事にしている、元アパレルバイヤーの日常記録です。

15 : 今週のお題【あのとき着ていたあいつ】

column

今週のお題「お気に入りの一着」


だいたい印象的な出来事があった日の自分が着ていた洋服はとてもよく覚えている。


それはわたしのパートナー、ふるふる君と初めてデートしたときの服だ。


ふるふる君と2人きりでデートをするのは初めてだった。

だいたい共通の知り合いを交えて3人で食事する(そして、わたしのいつも思いつきだ)

ことが多かったのだが、ふるふる君は少し変わっていて、少し頭がよくて、わりとジェントルマンだった。

だが、正直にいうと全然タイプじゃなかった。


知り合ってから1年経過しそうなころだったが、特に意識したことがなかった。

最初はずっと冷酷で他人を馬鹿にしているまじやなやつやろな〜くらいに思っていたのだが、食事する機会が増えるにつれ、ふるふる君は冷たいだけではないんだなとわかっていった。


わたしは前の彼氏とうまくいっておらず、かといって仲のいい友人に話すとただ心配をかけるだけになりそうで、薄いつながりのふるふる君や共通の知り合いに相談することが増えていった。


ふるふる君は大抵中立の立場で話を聞き、流してたともいうが、当時の彼氏の味方であった。


でもこのときも特になんか思っていたことはない。


いろいろ考えた末、わたしは彼氏と別れを決意した。



そしてふるふる君と共通の知り合いと食事する回数は増えていった。

ふるふる君と意見があうことがままあった。


なんでかわからないのだけど、タイプじゃなかったのにふるふる君にひかれた。


最初のデートは小料理屋さん。

わたしの1人で住まう家の目と鼻の先だ。

仕事おわりのふるふる君に

あの店にいってみたいと誘った。    



その日外出していたわたしはヒールにタイトワンピースという出で立ちだった。


一度家に着替えにいき、わたしはベアトップのロングワンピースとカーキのコットンカーディガンを肩にかけ、わたしよりも背が低いふるふる君に気を使ってビーサンをはいていった。


前からやってきたふるふる君は緊張していた。


なぜかわたしまで緊張していた。


ほとんど飲めずほとんど食べられず、

アラサー2人とは思えないほど、なんだかぎこちなかった。


店をでると、緊張のためかなぜか2杯ほどで酔っていた。


でも家はすぐそこで、お互い明日は休みだった。

家まで送ってくれたふるふる君に、ありがとう、といって家に入ろうと思ったが

なんだかその距離感がよそよそしく感じた。


ふるふる君にむかって、わたしは

両手をひらいて、

ん!

といった。


ハグしよ、のポーズだ。



やだよ、とかふるふる君は恥ずかしがって絶対に来ないと思った。

だが、彼は照れ臭そうに少し上目使いで飛び込んできたので驚いた。


どれだけの時間かわからないけど、

随分長い時間に感じるほど、ハグをした。


ふるふる君の心臓はドキドキしていた。

もちろんわたしも。


肌触りのいい、最高級コットンを使用したワンピースが汗を吸う。

離れがたかった。

でもふるふる君はハグから一向に動かない。

それがなんだか母親に抱きつく子どものようで可愛かった。

ちょっとしたイタズラ心でふるふる君の耳をなめてみた。

ふるふる君はお酒で真っ赤になった顔が更に赤くなって、くすぐったいと笑った。


それが合図となって、離れた。


終電がでるまであと15分。

ここからその駅までは歩いて20分。


ふるふる君はギリギリまでこちらをむいていたが、途中でくるっと方向をかえて猛ダッシュした。


途中雨がふった。



ふるふる君が電車に間に合わなかったらいいのに、と少し考えていた。


終電がでる直前、膝がガクガクだけど間に合った、と連絡があった。


なんだかほっとしたような、残念なような

変な気持ちだった。


それから、家についたふるふる君と朝方まで、眠くなるまで電話した。

さっきまで、ふるふる君とハグしていたワンピースで。



今はユニクロのワンピースで、スッピンに頭にタオルをまくほどすっかり気を抜いている日々だが、

夏になったらあのワンピースでふるふる君ともう一度デートしようと思う。